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「やっぱり、怖がらせてしまったみたいだな……」
溜息とともに落とされた呟きに、ハッとして、私は、隣に座る課長の顔を見上げた。
申し訳なさそうに向けられる課長の瞳に、『見せなければよかった』という、後悔の念が見えるような気がした。
「平気です。ぜんぜん平気です!」
確かに怖いけど、課長がこの写真を隠さないで見せてくれたことは、素直に嬉しい。
「むしろ、よくぞ撮ったものだと感心しちゃって。プロってすごいですねー。仕事にかける情熱を見習わなきゃですね」
あはははと、どうにか笑みを作り、
手に握りしめていた写真のしわを伸ばして、テーブルに置いてあった写真に混ぜて、はい、と手渡せば、
課長は少しだけホッとしたように、口元を緩めた。
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