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「充分、味わっていますとも。とても美味しかったですよ、高橋さん。ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
にこにこ笑顔で面と向かってお礼を言われ、少し気恥ずかしい気持ちで応えを返すと、
探偵さんはビジネスバックを抱えて、「じゃ、そろそろ、おいとましようかな」と、腰を上げた。
「今度三人で、酒盛りでもしましょう」
「え、あ、はい。そうですね、ぜひ」
いきなりのお誘いに、とまどい、しどろもどろになってしまう。
でも、
私に向けられる、探偵さんの眼差しは男性のものと言うより、近しい肉親のそれのように柔らかい。
「別に、二人きりでもいいですけどね、僕は。あ、ちなみに、僕はフリーなので、ご心配なく」
「あ、あははは……」
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