24 訪問-2

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「こら、へっぽこ! 人の部下をナンパするんじゃない」 「はいはい、へっぽこは、退散しますよ。馬に蹴られたくはないですからね」 「お前なぁ……」 「それでは、さようならー」 バイバイと、手を振りながら、 まるで、不思議の国のアリスに出てくる、チェシャ猫のような笑みを残して、 訪れた時と同じ唐突さで、麒麟探偵は、部屋を去って行った。 台風一過。 パタリと、ドアが閉ざされた広い部屋に満ちたのは、なんとも言えない脱力感。 でも、それは、けっして不快なものではなく、 見送りに出た玄関ドアの前で、 課長と二人、顔を見合わせて、思わずクスリと笑いあう。 「騒がしい奴で、申し訳ない。あれでけっこう有能なんだが……」 「楽しい方ですね。好きですよ、私。ああいう人」 麒麟探偵さんこと、風間太郎さん。 今後、どういう関わり方をするかは分からないけど、 たぶん、良い友人になれる、 そんな気がした。
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