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尚も続く、課長と探偵さんとの秘密めいたやり取りに、ダンボの耳を広げつつ、私は、止まっていたコーヒーメーカーの準備に取り掛かった。
その一方で、脳内で渦巻く想像という名の妄想が、暴走しはじめる。
一介の鉄骨建築会社の一課長が、幼なじみとはいえ、探偵を雇って何かを調査している。
そのうえ、危ない連中に、何か困った場面を盗撮されてしまったらしい。
――って、
課長ってば、毎日私に付き合って残業三昧のくせに、会社の外でいったい何をやっているの?
ポコポコポコと、
香ばしいコーヒーの芳香が、あたりに立ち込め始める中、課長が真剣な声音で探偵さんの名前を呼んだ。
「……風間」
「あらたまって、なんです?」
「新規で、ガードの方も頼めるか?」
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