第1章.九条君と駅

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お?おおおお!? なんだこれは…。 画面に綴られているのは破格な金額。 この値段で駅はやっていけるのだろうか? 「と、とりあえず…。俺が行く駅、は…これ、だな」 ジイヤに持たされた小銭を投入すると、ボタンが唐突にオレンジに光る。 うおっ!?っと声を出しそうになったが、カリスマ的反射神経で飲み込んだ。 「おおぉ!これが切符か」 本当に紙切れだ。 小さな紙を無くさないように握り、人の流れに沿って歩く。 人々は細く区切られた場所を何かを使って通っているようだ。 ある人間は財布を。 ある人間はカードのようなものを。 ピッと細長い機械が鳴ると、遮断していた小さな扉が開くようだ。 「…む?」 俺も同じように切符を機械にかざしてみるが、目の前の遮断している小さな扉はビクともしない。 何度ペタペタと押し付けても動かない。 まさか切符が偽物だったのか!? 偽物だからあんなにも破格な金額でこんな安っぽいのか!! 「くそぅ…庶民は騙し合いで少ない金をむしりあっていたんだな!?」 すっかり萎れてしまった切符を恨めしく睨むが、こいつに罪はない。 こいつはあくまで利用されたのだ。
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