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外ですごい物音がして、宿題から意識が逸れる。窓から外を覗いてみると、大きな黒い獣が三、四匹いて、ぞくっと悪寒が走る。
「か、怪物……!」
壁に背を預けて座り込み、膝を抱え込む。怖くて、もう一度窓を覗こうなんて思えない。
ほんの少し覗いただけなのに、考えてみると自分でもびっくりするくらいの情報があの短時間で頭に入っていた。
見えたのは、獣と、人と、火と雷と……。
……人。確かに、人もいた。
また、何かがぶつかるような音。獣が家に突進したのかと思って、びっくりして立ち上がった。
「どうしよう、どうしようどうしよう……!? お母さんは……!?」
どんどん心臓が高鳴って、呼吸が荒くなる。そんな竜也に、声は冷静に言葉をかけた。
『落ち着いて。僕はあの獣に対抗できるから。お母さんも戦っているよ』
『む、無理だよ! だって、あんなの、倒せるわけ……!』
『火と雷を見たんだろう?』
そう言われて、頷く。あの怪物からも……人からも、火や雷が飛び出していた。
『あの獣が入ってこれないのは、お父さんがこの家に魔法をかけてるから。僕も魔法が使える』
『ま、魔法……って言ったって、そんなの、どうやって!』
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