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『僕は君のもう一人の君であって、魔法使いである君が僕。個々だった僕の意識が君の意識と統合すれば、魔法は使える。僕の意識は君に君がなにを出来るのかを教えるためにある。僕自身は魔法は使えない。魔法を使うのは、君』
魔法使いだと言われて素直に受け入れられるはずがなく、竜也はさらに頭が混乱していた。
『ど、どういうこと……?』
『とりあえず統合するよ。正直あと一年は待ちたかったけど、そうは言ってられない。不完全になるけど今回は乗り切れる。ちょっと気持ち悪いけど我慢してね!』
どくんと心臓じゃない何かが脈打って、その脈打った場所からどんどん全身に何かが流れていく。吐き気がして、うずくまってしまった。
全身にそれが行き渡った後、再び何かが大きく脈打ち……目に見えない力が竜也から溢れて辺りに荒れ狂った。すぐに収まって、体の中を渦巻く。
――竜也の中の時計の針が、動き出す。
『お父さんが守ってくれているとはいえ……今ので反応してさらに攻撃が増えるだろうから、いつかは入り込まれる。その時は誰かが来てくれるまで自分達で対応するしかないからね』
『でも、どうすれば……』
『勝手に体が動くよ。とりあえず、その時が来るまではじっとして体を魔力に慣れさせておこう』
『魔力……これが?』
呟いて膝を抱えて頭を膝の上に載せ、ため息を着く。
『本当にこれ、現実なのか疑いたいよ……』
そこまで言ってから、はっと顔をあげた。
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