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「魔法、使えるようになったんだね……」
「声は後一年待ちたかったって」
「そっか……お母さんの後ろにいなさい」
ここで見栄を張っても、一匹も倒せないのでは足手まといになるだけだと思ってうなずくと、真綾は微笑んで竜也を守るように立ちはだかった。
「魔法はこういうものだよ、たつ。“獄炎牢”」
炎の箱が怪物を三体一気に包み、箱が消えた時には三体とも丸焦げになっていた。
「す、すご……」
怪物が襲いかかってきても、真綾は冷静に返り討ちにしてしまう。
自分は雷を使い、真綾は火を使う。その違いが気になったものの、聞くのは後回しにした。
少し頭がぼーっとして、体もたまにくらくらする。このような状態だったから、真綾に腕を引っ張られるまで気づけなかった。
思いっきり引っ張って離され、現実に引き戻される。
たったの三秒の出来事。それが何倍にも引き延ばされたような時間の中で、見たくないことがありありと目に映り込んできた。
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