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「でね、そんなことあのーーーー
人がだらしないからじゃん」
時間がずれた。一瞬切り離されて、すぐにつなぎ合わされたような。
「あれ……?」
「るーちゃん?どうしたの?」
「えっ、うん……なんでもない」
進もうとしてせき止められた感覚が残っていて、体の中で魔力を循環させる。
「気のせいかな……」
本当はそんなことないってわかっている。でも、にわかには信じられないのは当然で。
「なにが?」
「ううん、気にしないで」
『気のせいじゃないよ。あたしが時間が止められたことに気づかないとでも思う?』
『時間が止められた!? どういう……』
『同じ、時間を操る人が現れた、ってことよ』
思わず、息をのむ。ついに現れたーー二人目。
『今年はなんだか荒れそうだね?』
遊馬には話さないと、と考えたけれど、日本の千葉にいるのを思い出す。とても電話で伝えられるとは思えなくて、ため息をついた。
『明日伝えればいっか……そんな切羽詰まっている訳でもないんだし』
そう言っても、声はもう答えてくれなかった。
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