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「君もあんな熱いキスをするんだね」
「……」
「あの男には自分から跨がったりするの?」
「……」
「しゃぶったりするワケ?」
幹太はコートを脱ぐとネクタイを緩める。そしてえげつない台詞でチクチクと私のことを責め始めた。
「若そうに見えたけど、年下?」
「ええ。4つ下」
「ふうん。手懐けたものだね」
「手懐けてなんか……」
「そう? 君、意外とリードしてたし。今まで俺にはあんなことしなかったよね。そんなに彼が欲しいの?」
ソファにどかりと腰掛け、リモコンでテレビを付ける。ふてくされたときの幹太。自分だって散々優子とイイコトをしてきたのに、棚に上げて私を責める。でも私は黙っているしかなかった。幹太以外の男性と一線を越えたのは謝るべきだと判断して声を掛けた。
「幹太、私……」
「何がやり直したいだよ。後で役所から紙を貰って来て」
「紙?」
「離婚届。もういいんだろ?」
グサリと胸に突き刺さる……離婚届。そうなるだろうと予想していたのに、実際について言われると堪えた。胃の辺りがジワリと焼けた。
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