§14 ウェディングドレスと4月の雨

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 店員にアイスコーヒーを注文すると、優子はすぐに煙草を取り出した。 「優子、煙草は止めたほうがいいわ。体に良くないから」 「で、話って何ですか?」 「優子、幹太のこと好き?」 「ええ。まあ」  優子は私の勧告を無視してライターで煙草に火をつける。大きく吸い込んだのか穂先の火は明るくなる。そして思い切り私の顔目掛けて息を吐いた。思わず咳き込んだ。それを見た優子はクスクスと笑う。 「大学のとき、私、優子に頼んだわよね。幹太に彼女いるのか探って欲しいって」 「はい」 「私、すごく酷なことをしたって思ってる。優子は幹太のこと好きだったでしょう?」  そう尋ねると優子は返事もせず、煙草をふかした。 「あのとき優子の気持ちに気付いてたらきっと、優子には頼まなかったと思う。私、自分のことで精一杯で。って言っても今もそうなんだけど」 「何がいいたいんですか? そんな同情を誘う言葉で幹太を諦めろってことですか?」 「違うの。こんな私だから、きっと、幹太とうまく行かなかったんだと思う」 「ホントに優等生ですね! イライラします、そういうの」  優子はスパスパと煙草を吸う。私から目を逸らして窓の景色を見ながら。 「別れることにしたの、私たち」 「そうですか」 「だから煙草止めて。赤ちゃん、欲しいでしょ?」
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