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ウィークリーマンションから通い始め、数日。ゴミを出して会社に向かう。そう言えば幹太はちゃんと分別出来てるかな、そんなことを考えてしまう。きっと……優子が来て世話をしてるに違いない。私が心配することじゃない。スマホが鳴る。
“飯、行くか?”
穂積くんからのメールだった。私は迷ったけれど、会おうと思った。
“うん。trinityに行きたい”
“定時にに上がるから駅で”
“了解”
素直に嬉しかった。別れると決意していても好きなものは好き。一緒に飲みに行けるなら嬉しい。もし……抱いてもらえるなら抱いてもらう。最後のお泊まり。
そして私も定時で上がり、駅に向かった。穂積くんは改札の前にいた。手を振ると穂積くんも手を上げる。改札を抜けて電車に乗る。混雑した車内、穂積くんは私を庇うように立っている。見上げれば穂積くんの顔、恥ずかしくて俯けば穂積くんのネクタイ。離婚届も幹太に預けて、身軽になった私は穂積くんの胸に飛びこんでしまえばいい。でもそれを堪えて踏ん張って立つ。
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