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trinityに着いて窓側の席に着く。もう外は暗い。夜景は薄ぼんやりとしていた。春の霞んだ空気のせい。
「乾杯」
「乾杯」
穂積くんは生ビールで、私はオリジナルカクテルでグラスを合わせた。
「旦那、どう?」
「まあ、そうね」
「すんなり離婚出来るのか?」
「多分」
穂積くんのプロポーズに返事をした訳ではない。でも穂積くんは私が受けると思っているんだろう。
「式、挙げるか? ドレス、着たいんだろ?」
「うん……。ドレスは着たいな」
「親戚とか友人とか呼ぶか? 嫌なら2人で挙式でもいいし」
「うん……」
穂積くんは本当に私と結婚したいと思ってるんだろうか。
「式、挙げるならどこがいい?」
「海の見えるところがいいな。それか高原のチャペルとか」
ちゃんと断らないといけない。
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