§14 ウェディングドレスと4月の雨

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「でも、いい。そんなことしたらバチが当たるから」 「何で」  私はカクテルを半分ほど飲み干した。 「穂積くん。別れて」 「今なんて」 「主人とも別れるけど、穂積くんとも別れたい」 「何で」 「私、結婚には向いてないと思う。穂積くんとやり直しても同じことを繰り返しそうで怖いの」 「俺は浮気なんか」 「分かってる。穂積くんは浮気はしないって。でも駄目なの。二の足を踏んでしまう。こんな気持ちでプロポーズ受けても駄目だと思うから」 「まだ気持ちの整理が着かないなら、俺は待つし」  私は首を横に振った。 「もう甘えられない。甘えちゃいけないの」 「そんなことない。甘えろよ」 「もう一生、一人でいるって決めたの」 「勝手に決めるなよ」 「穂積くんにはきっともっと可愛い子がいると思う。その子にドレスを着せてあげて」 「ったく……神辺さんは強情だし」  穂積くんは舌打ちして生ビールを飲み干した。拗ねてるようで可愛い。そんな穂積くんを見てるだけで私は胸がいっぱいになった。 「……私も穂積くんの隣でドレス、着たかったな」 「なら、着ればいいだろ」 「もう冗談だから」 「ドレス、着ろよ」
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