§14 ウェディングドレスと4月の雨

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 ドレスは1週間後、仮縫いを終えて、試着してサイズを確認したあと本縫いに入り、その1週間後にお渡し、になると説明されて、私たちはアトリエを後にした。 「再来週だな」 「うん。楽しみ」 「太るなよ」 「もう……」  駅で別れて、私はウィークリーマンションに戻った。手帳を広げて日時を確認する。再来週……もう3月末だ。その数日後にはまた入社式に入社研修が始まる。穂積くんと出会った施設、一緒に歩いた海。私が人事部にいるうちは何度でも足を運ぶ場所。穂積くんとの思い出に会える場所。 ……そして、2週間。 「ピッタリだな」 「当たり前でしょ」 「馬子にも衣装」 「もう。年上をからかって」  2人でアトリエに向かい、ドレスを着た私を見て穂積くんはからかう。自分でも鏡に映る自分を見て思った。予想以上にしっくり来て、Aラインがすごく可愛い。それでいて派手過ぎず、上品で。 「満足か?」 「うん。大満足」  穂積くんが会計を済ませる間、私はドレス達を脱ごうと試着室に戻ろうとした。 「おい」 「何?」 「このまま行かないか?」 「どこに?」
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