§14 ウェディングドレスと4月の雨

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「教会」 「教……」  私は穂積くんを見つめた。でも穂積くんはお財布からカードを出してスタッフとやり取りを始めてしまい、もう私の方は見てなかった。教会……ドレスを着て教会に。  ぼうっとしていると穂積くんに手首を掴まれた。 「行くぞ」 「え、ちょ、会計……」 「済ませた。ほら」  ぐいと引かれてコケそうになる。 「狡い。穂積くんタキシード着てないじゃない」 「つべこべ言うな。駅前でレンタカーを借りようか」 「え、ホントに行くの??」 「嘘ついてどうすんだよ」  奥にいたスタッフは私が着てきた服をショップの紙袋に入れて見送りに来るとクスクスと笑っている。微笑ましい光景に見えたんだろう、挙式まで待てないカップル。  穂積くんは荷物を片手にもう片方の手で私の手を握り、駅方面に向かう。教会に行ってどうするつもりなんだろう、私は穂積くんと別れるって、幹太とも別れるって告げたのに。
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