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「晴香、綺麗だ」
「でも髪も纏めてないし、メイクも普通だし、ほらパンプスだってベージュ」
「綺麗だからいいだろ」
「駄目。もう穂積くん分かってない。女の子はね、んっ」
私がぶすくれて返事をすると再び唇を重ねた。まるで私の言葉を遮るように。
「なら次はちゃんとして教会に来ればいい」
「また来るつもり?」
「今度はちゃんと牧師さんを呼んで挙式にはみんなも立ち合ってもらって、披露宴も準備してドレスも作って」
「穂積くん? 私はもう……」
再び遮られた言葉。キス。何度も触れては離れて、離れては触れて。すごく優しいキスなのに、どこか切ない……。そして最後に額にキスをすると、穂積くんは私から離れた。穂積くんの言わんとしてることはよく分からなかった。本当に私と挙式したいのか、でも穂積くんの唇はどこかこう、浮いていた。
「海、行ってみないか」
「うん」
再び車に乗り込み、海岸沿いの駐車場出車を停めた。砂浜を歩いて波打ち際にやってきて。
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