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俺たちがいるここは、学生のために大学が用意してくれているテラス席だ。一限も終わり、二限目の無い暇な俺たちは座って暇を潰しているわけだけど。
……俺の精神が潰れそう。
茶色に染めた髪をかき上げて、座りなおすように瀬戸くんがこっちを向く。そんなことでもドキッとする俺は、なんて弱いんだろう。
「……なに緊張してんのさ。さっき散々人の顔見てたクセに、自分が見られるとカチンコチンとか……」
はあっ……とため息をつかれて、俺も俯きそうになった。
「シュンとすんなってば。悪かったよ、俺が悪うござんした!」
「瀬戸くん……」
「ん?」
「――好きです」
「このタイミングでそれを言うお前にかける言葉が見つからねえわ」
自分でも分からないけど、なんとなく言いたくなって、気付けば口に出していた。
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