いーち

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ポリポリと頬を掻きながら、苦笑をこぼしている瀬戸くんに何故だか安心する。 「ってかさ、俺としては何故俺なんだろうって感じのが強いんだけどね?」 「そ、それは告白した時に言ったじゃんか……」 「ん、まあそうなんだけどよ」 玉砕覚悟で告白した三秒後、瀬戸くんは、「お前さあ、俺のどこが好きなんだよ?」と訊いてきた。 きっと、キメエとかくたばれとか言ってくるんだろうなとか思ってたから、その切り返しはあまりにも予想外で、俺はかなりマヌケな顔を晒してたんだろ思う。 事実、「なにマヌケ面してんだよ」って言われたから。 初めて瀬戸くん――瀬戸大地を見たのは、水曜日の二限、グループワークの講義でだった。 グループって名前が付く通り、何人かの人と一緒に授業に取り組んでいく。教授が勝手に決めたグループの中に、俺と瀬戸くんが入ってたんだ。
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