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「濡れたタオルかなんかで冷やしとけよ? お前の眼が腫れてたら、うるせえ女共が大勢いるんだからよ」
「女共って……」
「最終的に俺がなんかしたみたいに誤解されてみ? 磔になったあと火炙りにされるんだぜ?」
「そんなことはないと思うけど……」
「いいや、大学のサークル内で俺の名前が広まって誹謗中傷されまくるな」
……なんかブログの炎上みたいな感じかな。
洗面台でハンドタオルを冷水に浸して瞼にあてがう。ひんやりとして気持ちいい。熱をタオルが吸ってくれているようで、少し眠くなってきた。
部屋に戻ると、布団に入って寝る体制の瀬戸くんがこっちを見ている。
「当初の俺の寝る時間が大幅にずれてる。サッサと眠りたいんだけど」
「……一緒に、とかは」
「永眠するか?」
「……だよね」
また泣けてきそうなんですけど。
部屋の電気を消してベッドに潜り込む。寝る直前にタオルを木製の柵部分に引っかけた。
「おやすみ、瀬戸くん」
「……おやすみ」
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