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「「ノエルっ!!!!」」
叫び声が重なって、雨に覆われた曇天に響く。
けど、届かない。
青の光は、何の反応も示してはくれない。
「無駄だ。器がなけりゃ、魂には何もできねえよ。逆に言えば、だ。器さえあれば、青の嬢ちゃんを呼び戻すこともできるってことになる」
「なら──!!」
「ただし。器にされた人間の魂は食い潰されちまう。何の制御もされてない魔神の力に、ただの人じゃ対抗できねえのは明確だからな」
「なッ!?」
「しかも、器になるのは誰でもいいってわけじゃねえ。そもそも適正がなけりゃ人の体程度じゃ魔神の魔力を収めきれねえ。魔力に耐えきれずに、バラバラになるのがオチだ」
「だったら、どうしろってんだよ!!」
「あるじゃねえか、目の前に。青の嬢ちゃんの魔力を肩代わりしても、何の悪影響もなかった最高の適正を持ってる器が」
無意識に、無自覚に。
ツイ、と。視線が自然と流れてた。
赤い瞳が大きく映る。
「…………あたし、なの?」
「待て、シエナ! それは──」
「じゃあ、青の嬢ちゃんを諦めるのか?」
「ッ!?」
「選べるのは2つに1つ。前に言っといただろ、クロウ。──どっちをとるかちゃんと決めとけよ、ってな」
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