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片手で枕を取り上げて、驚いた口へすかさずサンドイッチを放り込む。
「ふぁにふるのひょ!」
「何するも何も食事提供?」
「むぐ、んぐ…………なんで疑問系なのよ! ──あーもう! いいわよ! 食べればいいんでしょ、食べれば!」
観念したらしい声に続いて、サンドイッチの山が凄い勢いで消えていく。
やけ食いみたいな勢いに、思わず苦笑が浮かんでしまう。
残念ながら、あのまま手を伸ばせるだけの答えをオレはまだ持ってない。
だから、今はこれでいい。今はまだこれがいい。
「なに突っ立ってるのよ。あんたも食べるんでしょ」
言いながらシエナが端により、トントンと隣のスペースを叩く。
ベッドの上で食うのはどうかと思うけど……まあ、今はいいか。
「じゃあ、ちょっと失礼して、と」
腰を下ろしてトレイも置く。
肩と肩がぶつかりそうな距離感。お互いに何も言わない。
自分のこととなると途端にズボラになる姉の面倒をみるべき妹がいないせいで、小物一つないながらも雑然とした部屋の中。
タマゴサンドやハムサンドなど、こっちの材料でそれっぽく整えたサンドイッチだけが静かに減っていく。
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