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「ノエルは無事、なんだよな」
口火を切ったのはオレだった。
「ええ」
シエナの顔が間近に迫る。青い瞳がオレを捕らえた。
「ノエルの魔力は、ちゃんとあたしと繋がってるわ。どこにいても、どれだけ離れていても、この繋がりがあの子の無事を教えてくれる」
胸元に輝く宝石をシエナがギュッと握り込む。
シエナの目の色は、本来なら赤いらしい。今の色はノエルと魔力を共有してる影響だ。
その繋がりが、ノエルの身の安全だけは保証してくれる。
「でも、分かるのはそれだけよ……」
魔力の繋がりは、本来なら大体の居所も教えてくれるはずなのに。
それが示すのは世界の隔絶。そもそも一切の繋がりのないどこかにノエルはいる。
遠い世界か、未知の世界か、それとも他の世界と重なっていない小さな彩色空間か。
「ノエルのいる所は全く分からないの……」
「だからこそ手当たり次第に探してるんだろ」
青い瞳を強く見つめ返す。ことさら明るく声にする。
「確かにノエルがどこにいるのかは分からない。手がかりだってほとんどない。けどな、クリスやリゼやイロさんや、他にも色んな人も手伝ってくれてんだ。ノエルは絶対見つけ出せる」
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