2923人が本棚に入れています
本棚に追加
アリシアさんに礼を言い、ギルドをあとにする。
「一週間、か」
切り落とされた腕が完全に治るまでにかかった時間とすれば、破格の早さと見るべきか。
それとも、魔法に魔法具、心器まで活用してたのに、それだけかかったと見るべきか。
「ま、どっちでもいいか」
吐き捨て、どこへともなく歩を進める。
出てきたはいいけど、行き先はない。
見慣れてる街。いつもと変わらない街。
そのはずなのに、進むべき道が分からない。
どこへ行けばいいのかなんて分からないし、どこへ行きたいとも思わない。
それでも足は止まらなかった。
賑やかな大通りから外れ、小道を進み、横道に逸れ、ただフラフラと歩き続ける。
気づけば、見覚えのある門の前に立っていた。
ボロボロの門構えに、なんだかわからない植物の蔓に被われた外観。
「これじゃあ、お化け屋敷なんて言われても文句は言えないな……」
来るつもりなんてなかったのに。
それでも、気づけば銀嶺館の前に立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!