【青の残照】

19/28
前へ
/384ページ
次へ
 炎の柱が吹き上がり、牙むく龍を形作った。  切迫は一瞬。  炎の龍は襲いかかって、火炎の牙が突き刺さる。  寸前。 「【青の魔弾(ブルー・バレット)】」  撃ち出されたのは基礎魔法。初歩も初歩の小さな魔弾。  いまさら、そんなもんでどうなるっての! 「きゃッ!?」 「シエナ!?」  圧縮された魔力の弾丸は、正確に、素早く、シエナの顔を狙い撃つ。  けど、所詮は1章の基礎魔法。障壁を纏った腕をかざすだけで、いとも簡単に防ぎ切れてた。  できたのは、せいぜい一瞬オレたちの気を逸らすことだけ。  その一瞬。わずかな時間の間隙に、オッチャンが半歩その身を引いていた。  吼えたて、牙むき、燃え盛り、襲いかかった炎龍は紙一重でオッチャンを捉えきらずに、ただ後ろへと流れてく。 「この手の魔法は、ほとんど術者が操る必要があるからな。ちょいと意識を逸らしちまえばこの通り、ってわけだ」 「でも、まだ──」 「【流水(スプラッシュ)】」  くそッ! 水がジャマで前──がッ!?
/384ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2923人が本棚に入れています
本棚に追加