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炎の柱が吹き上がり、牙むく龍を形作った。
切迫は一瞬。
炎の龍は襲いかかって、火炎の牙が突き刺さる。
寸前。
「【青の魔弾(ブルー・バレット)】」
撃ち出されたのは基礎魔法。初歩も初歩の小さな魔弾。
いまさら、そんなもんでどうなるっての!
「きゃッ!?」
「シエナ!?」
圧縮された魔力の弾丸は、正確に、素早く、シエナの顔を狙い撃つ。
けど、所詮は1章の基礎魔法。障壁を纏った腕をかざすだけで、いとも簡単に防ぎ切れてた。
できたのは、せいぜい一瞬オレたちの気を逸らすことだけ。
その一瞬。わずかな時間の間隙に、オッチャンが半歩その身を引いていた。
吼えたて、牙むき、燃え盛り、襲いかかった炎龍は紙一重でオッチャンを捉えきらずに、ただ後ろへと流れてく。
「この手の魔法は、ほとんど術者が操る必要があるからな。ちょいと意識を逸らしちまえばこの通り、ってわけだ」
「でも、まだ──」
「【流水(スプラッシュ)】」
くそッ! 水がジャマで前──がッ!?
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