2923人が本棚に入れています
本棚に追加
『それで、状況はどうなってるんや?』
「発見なし手がかりなし進展なし、だな」
『そうか。悪いけど、こっちもめぼしい情報はないわ』
「そうか……忙しいのに探してくれて、ありがとな」
『気にせんでも、これくらい問題ないで』
いや、これくらいってレベルじゃないだろ。
炎が揺れる。閃光が弾ける。
画面の向こうで様々な色が乱れ飛ぶ。
撃ち出されるのは小さな札。それが火炎を生み出し稲妻を呼び、水が渦巻き敵を飲み込む。
刹那。そのすべてが切り裂かれた。現れたのは巨大なイタチ。両手と尾に伸びた鎌で、飛び交う攻撃を叩き斬る。
取り囲む少年少女が慌てて札を投げつけるけど、今度は術が成る前にそのすべてが細切れになる。
どう見てもバケモノ相手に押され気味なんですが。
『ちょっと双真くん! 話し込んでないで貴方も応戦してくださいまし!』
『えぇ。自分らだけで十分やから、通信に応じてええ言うたんはそっちやろ』
『そうですけれども! この妖怪、怪しげな術で強化されてる様ですの!』
最初のコメントを投稿しよう!