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オッチャンはニヤリと笑う。
「で、お前の方はどうなんだ?」
「な!? 今はそんなこと関係ないだろ!!」
「あるから訊いてんだ。さっき言っただろ。答えを出すのは、まだ遅くないって」
「何、言って──?」
「ウルス」
「……了解」
佇むウルスがひとつ頷く。
瞬間。
何もない空中に、別の景色が広がった。
壁も床も天井も、すべてが氷で造られた静謐な部屋。そこは霊廟だった。
たったひとつだけ氷の棺が横たわる。
その中にあるのは小さな光。青く輝く柔らかな光。
頭ではなく、心で感じる。
自然と頬が濡れていた。
「人という種に封じられてる今の魔神は、その身が滅びれば、またこの世界のどこかで別の“人”として生まれ落ちる。けど、まあ、それを探し当てるのも面倒なんでな。他へ動かれる前に、魔神の核は確保しといたってわけよ」
……あ…………ああ………………ああ!!
「分かりやすく言うなら、だ。────そこに見えるのは、青の嬢ちゃんの魂だとでも思っとけ」
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