【足りない日々】

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 こちらでも情報を集めておきます。そう言い残して、カインの方の画面も途切れた。 「ふぅ。さすがに世界間を繋いで通信すると肩がこるの」 「力を貸してくれて、ありがとうございます」 「なに、その分報酬はいただくのじゃから気にするな。ほれ、さっさと奢らんか」 「分かってますよ、好きなもの頼んでくれて大丈夫です」  ギルド一階の飲食スペース。平日の昼間だというのに、すでに飲んだくれている人が見受けられる空間の片隅。  満面の笑みでケーキを注文するのは、この空間に似つかわしくない幼い少女だ。  首の後ろ辺りで結んだ銀髪を尻尾みたいに揺らし、酒場なのになぜかメニューにあるケーキに目を輝かせてる。 「学園長、お時間はよろしいんですの?」  リゼの問いかけに、注文が終わってからもメニューを覗き込んでた学園長が顔を上げた。 「ん? 時間ならいくらでもあるぞ。今のワシは魔力体じゃからの。消せば意識はすぐに学園へ戻れるのじゃ」 「忙しいから通信は手短にって言ったのは、あんたでしょ!」 「そこは……ほれ、多忙な中それでも生徒のために時間を割くワシ格好いい、みたいな?」 「なんであんたはいつもそうなのよ!」
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