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噛みつくシエナと受け流す学園長。
それよりオレとしては、魔力で作った分身的なモノである魔力体で何か食べて大丈夫なのかが気になるところだ。
飲んだくれが騒ぐ喧騒の中にあって、それでも響く堅い音。
テーブルに置かれたケーキの皿。学園長の握ったフォークが、白いクリームに包まれたスポンジをスッと切断する。
「まあ、実際のところワシも忙しい。先ほどの二人もそうじゃが、厄介事に巻き込まれておる生徒は多い。魔剣の制御に手こずっておるヤツもおれば、邪龍に魅入られたヤツもおる。学園長として様々な学生の物語に首を突っ込まんといかんからの」
赤いイチゴを内包したスポンジが学園長の口へ消える。
味わうように噛み締める顔は幸せそのもの。
そんな表情が一転、引き締まる。
「じゃから、これも学園長としての責務の一端じゃ。お前たちの現状も確認しておかんとの──それで、魔女の妹の行方は完全に不明なのか?」
「はい。手当たり次第に彩色空間を回っていますけど、気配の欠片もないです」
「心器狩りの小僧の方もか」
「ええ。アリシアさんとイロさんが探してくれてるけど、今のところ手がかりの一つもないらしいわ」
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