【足りない日々】

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 心器狩り。あいつもクリスとの戦いから帰ってきたら、姿を消していた。  同じタイミングでの失踪。何か知ってる、それどころかあいつがノエルを連れ去ったんじゃないかとも思ったんだけど、 「ただ、心器狩りが魔女の妹を連れ去った可能性は低いんじゃったな」 「はい。その可能性はほとんどないですね」  強く頷いてみせるのはクリスだ。 「彼が目を覚ましたのは、いくら早くてもボクがシローに負けて彼の心器を手放した瞬間です。どうやっても間に合いませんよ」 「支配下に置いた心器の中に、転移を可能にする物があったということは?」 「ありません。彼がシローに負けた時点でほとんどの心器は解放されていましたし、ボクがコントロールを奪って確認したときは、心器の中に移動系は残っていませんでしたから」  クリスの説明に、学園長はフォークを置いて腕を組む。 「となると、犯人の可能性として高いのは、コソコソ動き回っていたという白の支配者を持つ者か」 「ええ。それで白の使い手として高名な学園長にお訊きしたいですの。最近、白の魔力に大きな動きはありませんでした?」
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