【足りない日々】

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「学園長が言ってたの、何だったんだろうな」  平日の昼間。人のまばらな商店街をシエナとふたり歩いてく。  クリスは魔力を回復させるため休憩中。リゼは自分のギルドへ報告と情報収集。  残ったオレたちは銀嶺館へ戻ることにしたわけだ。  けど、手がないから仕方ないとはいえ、どうしたって気がはやる。  知らず知らず速くなってた歩を緩めるため、シエナに問いを投げかけた。 「青に気をつけろってこと?」 「そう。それそれ」  流れ的に青の彩色空間のことなんだろうけど、なんで青まで警戒する必要があるんだ。 「可能性の……いえ、危険性の話ってところかしらね」  シエナが数歩先へ行く。  反転。浴衣の袖をふわりと踊らせ、後ろ向きに歩き出す。 「今あたしたちの手元にある色の支配者が2つ。敵方に確認できるのは1つ」 「こっちが赤と緑で、あっちが白だな」 「ええ。それから黒の支配者は、銀嶺館の管理人さんが持ってるから、味方って思っていいわ」
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