【足りない日々】

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「よし! 一体目は終わったわ! クリス、次は──」 『二人とも! 来るよ!!』  打ち寄せる波が、燃え上がる炎柱を飲み込んだ。  再び視界は闇に閉ざされる。  暗い。見えない。目に頼っては襲撃者を捉えられない。  だったら。  眼を閉じ、集中。感じるべきは魔力の流れだ。  すぐそばにある魔力はシエナのモノ。すこし離れたところに感じるのはクリスのモノ。そして── 「そこか! 【縛鎖(チェイン)】!!」  蠢く気配に鎖を伸ばす。  手応えアリだ! 「シエナ! 右後ろ、焼き払え!」 「分かったわ! 赤の書3章1節【煉獄炎(クリムゾン・フレア)】!!」  広がる紅蓮。照らし出されるのは、馬鹿デカいカエルだ。  大きく開けた口は、明らかに人を丸呑みにできるサイズ。  ただ、その口から漏れるのは悲鳴のような鳴き声だけだ。  全身を焼かれる化けガエルは身悶え、暴れ、鎖を引きちぎって、ぬめる青い表皮を地面にこすりつけることで消火を── 「ッ!? シエナ、下がれ!!」
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