【足りない日々】

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 予想外の反撃に生まれる思考の空白。ホンの数秒。けれど絶望的な数秒。 「……あッ…………いや…………」  強烈な締め付けにシエナが限界を迎える。  瞬間。 「シエナさんに何してるんですの!!」  文字通り雷が落ちる。  轟音と共に化けガエルの舌を断ち切った白雷は、シエナの傍で人型をとった。 「大丈夫ですの、シエナさん!?」  赤を基調としたゴスロリに身を包み、ピンクブロンドの髪をなびかせるリゼだ。  心器によって雷そのものと化したリゼは、シエナの方に残った舌を消し飛ばし、ひとまず無事を確認すると、振り向きざまに雷撃を飛ばす。  閃光が弾けた。  今度こそ偽物ではない叫びと共に、化けガエルを包む水の膜が消滅する。  踏み込み、拳を引く。  狙うはがら空きの土手っ腹! 「【魔弾(バレット)】!!」  めり込む拳。炸裂する魔力。  渾身の一撃は化けガエルを打ち砕いた。
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