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ポトリと落ちた彩色片。
拾い上げる。手の平の上で輝く青い光。
あいつの首飾りを思い出す。
「シロー」
「……分かってる」
力を込める。握りつぶす。
鈴を打ったような澄んだ高い音ひとつ。青の欠片が砕け散る。
索敵の邪魔になっていた青の魔力が流れ去る。
「シエナ、どうだ?」
リゼに支えられたシエナへの問いかけ。
答えは否定だった。
「ダメ。ノエルの魔力は感じないわ……」
ポタリと、雨の上がった世界に、それでも落ちる雫が地面を濡らす。
「………………ノエルぅ」
「シエナさん……大丈夫、大丈夫ですわ」
子供をあやすように背中を優しく叩くリゼ。
そんな二人に背を向ける。
「クリス、道を頼んでいいか?」
「任せて」
「ちょっと、シエナさんはそろそろ休ませないと!」
「分かってる。行くのはオレとクリスだけでいい。小さい空間ならシエナの感知がなくても探せるだろ」
「アナタたちも魔力は限界でしょう!?」
「大丈夫だっての。シエナのこと、頼んだぞ」
……どこ行ったんだよ、ノエル。
ノエルが消えて二週間。手がかりは、まだひとつもない。
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