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図星。
心の奥底を言い当てられ、驚きの声を漏らすこともできない。
「キミにとってシエナは、強くてカッコいい女の子だろうからな」
「……そうですよ」
オレがシエナを助けることもあった。クリスと戦ったときなんかは、その最たる例だ。
けど、違う。そういうことじゃないんだ。
クリスのときにしたって、あいつの心は折れちゃいなかった。
オレの隣で支えてくれた。なんでもない風に平然と笑ってくれた。
シエナはいつも凛として、炎みたいに強くて。
だからこそオレは──
「シエナは普通の女の子だよ。いや、少し寂しがり屋だな。あの子の強さは、誰かがいるからこそだ。意地を張っているだけなんだよ」
優しい眼差しがオレを見つめる。
「男なら、こんなときこそ一緒にいてあげなさい」
「──分かりましたよ」
ああ、そうだ。助けてもらうばかりは主義じゃない。
今すべきなのは、シエナに代わってノエルを見つけることじゃない。
もらった分はキッチリ返す。
支えてもらったら支え返して、オレとシエナでノエルを見つけだすんだ。
「ワタクシのことも忘れてもらっては困りますわよ」
「ボクもね」
おっと、そうだったな。
尊大な笑みと挑むような笑顔に笑い返す。
みんなでノエルを見つけるために。
オレはもう一度階上を見上げた。
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