砂糖。

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コトン。 無言で、湯気の出るカップを目の前に置く。 仕事中は、ブラックだって言ったろ? なんてぶーぶー言ってれば良い。 ちょっと仕事に仕返してやる。 アタシと彼の間を取り持つのは、ブラックコーヒーよ!邪魔しないでー! ってパソコンが文句たれた気がした。 ……。 でも、カップにクチつけてる眼鏡男は何も言わない。 それどころか なんと。パソコンを閉じたの! 仕事から眼鏡男を取り返したわ! 心の中で、ガッツポーズ。 「何、嬉しそーだね」 ふっと、力の抜けるような優しい笑み。 カップの湯気が舞って、眼鏡がくもる。 「勝利の喜び…」 何それって笑いながら、くもった眼鏡をはずす。 くもったそれはアタシのシャツで拭かれる。 「さてと…。仕事を、中断させた、罪は重いよ…?」 …げ。 故意に砂糖とミルク入れたのがバレて…る? いや、ひょっとして仕事とパソコンにまで嫉妬してたのまで…? 自分の心の狭さが…。 「すーぐ、顔にでるんだから…」 う…。 我ながら、超恥ずかしいわ! 顔から火が出そう…。 照れ隠しに、コーヒー。 カップに集中してたアタシは。 眼鏡男が間近に迫ってることにも気付かず。 空っぽになったカップから顔を上げると 眼鏡男のドアップが…! 「縛られるのも、きらいじゃないよ」 反則ー! こんな、こんな…。 唇が触れるか触れないかってくらいの距離で…。 距離で…。 き、きょりで…。 ………ちゅ。 ちゅ、ちゅ。 どゎ、どどどこに、ちゅー…。 ぎゃー………ぁっ…。 その後は、まあ、…ね? 拒むことなんて、できませんよ! って、何言わせるのよっ!
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