一富士二鷹三茄子

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ドキドキする待ち合わせなんて何年ぶりだろう。 初デートでもこんなに緊張しない。 誰かが入ってくるたびに、入り口に目をやって、違っていたら、ふぅと息をはく。 そんなことを繰り返していた。 「ごめん、遅くなった、あ、アメリカンください」 ここは、大学近くの喫茶ステーション。 「いえ、こっちがムリ言っちゃったんで気にしないでください!」 向かいに座って、くもった眼鏡を拭いているのは、図書館員で、笹本さんと付き合ってるという山内さん。 「それで話って…もしかして、決闘??」 決闘?! 「…ちがいます」 「ははは、よかったー、柳田さんが、ぜったいそうって言うからさー、確認しただけ!それで?」 …それで… オレは。 ただ、あの笹本さんの怖さを分かち合いたかったのだ。 ってゆうか、いきなり本題かよ! いいけど! 「単刀直入にお聞きします!なんで笹本さんと付き合ってるんですか?」 ほんと、なんで、こんなのんきそうな人が… 何かわけがあるに違いない。 「ええ?」 山内さんは困った様子だ。 うーん、としばらく考えて、 「…付き合うってゆうのは広義すぎるけど、それってつまり、なぜ、お互い合意の上で性的関係を持つ恋人になってるかってことだよね?」 と言った。 いや、そうですが… 言葉で言われると生々しい! 「…はい、」 オレの世界が壊れる音がする。 この人も宇宙人なんだろうか。
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