一富士二鷹三茄子

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マキちゃんが、オレの手を握る。 潤んだ眼で、見上げてくる。 「セイジくん、わたし… 恥ずかしくて言えなかったんだけど… 実はオトコなんだよね」 っだああああ!!! 悪夢。 これが、オレの今年の初夢… きのう、オレははじめて、男の色気、と呼ばれるであろうものを知った。 喰われるとおもった。 怖ええ。 「ぼくにも好みあるから」 もうなんか覚悟していた手前、にっこり笑ってあしらわれると、一気に気が抜けた。 「もう帰るね、またバイトで~」 そう言って、笹本さんは何事もなかったように帰って行った。 冗談きつい… まじ怖かった… もともと、笹本さんのことは苦手だ。 だって、ほら、嗜好が変わってる。 男と付き合ってるって、フツー公言しない。 もっとコソコソしろよ。 でも今回マキちゃんのこともあってなんとなく近づいたのは… 外見はいいし、つるむには理想的だなーとか。 これを機にちょっと仲良くなっとけたら、大学でも自慢できちゃうし、とか… なのに、 あの眼はホンモノだ… しかも、連れてきた相手、あれってうちの大学の図書館のひとだ。 噂は聞いたことあったが、都市伝説みたいなもんだとおもってた。 …信じられねえ なにがいいんだよ。 女のほうがいいに決まってるだろ。 まだ心臓がばくばくしてる。
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