一富士二鷹三茄子

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冬休みが終わり、大学の日常がもどった。 あれからバイト先で笹本さんに会うこともあるが、いたって普通だ。 もともと、そんな話さないし。 住む世界が違う。 笹本さんはたぶん宇宙人かなにかだとおもう。 しかし、関わるのはよそう、そう決心しても、構内で、女子がめざとく見つけてきゃあきゃあ言っているのによく出くわす。 その度に、オレはなぜかびくびくしなければならない。 きょうも、サークルメンバーで学食に行ったら、例の二人が飯を食っていた。 いままでなら、なんてことないその風景が、とてつもなく仲良く見えるのは、なんの錯覚だろう。 いちゃついてるようにしか見えない! 「セイジ先輩って、笹本先輩と同じバイト先なんですよね?」 後輩のナナちゃんがまゆげを下げて聞いてくる。 「え、ああ、まあね、そんなにしゃべったりはしないんだけど」 「ええ!この間はけっこう仲良しって言ってたじゃないですかあ! 飲みのセッティングしてくださいよ~」 ガン見するな! 声がでかい! ナナちゃんの言動にハラハラする。 オレは怖くてそっちの方向を見ることすらできない。
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