1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
『秋風高等学校』
今年、そこに入学したオレ、桐原聡希。
今日は、午後イチで、物理の授業がある。
しかし、その物理の授業が、実験室への教室移動だということを、すっかり忘れていたオレ。
昼休みに、学校内を散策しているうちに、迷子なってしまい、やっとクラスの教室に戻ったときに、状況悟った。
教室には、だれもいない。
初めての実験室での授業なので、オレはその場所を知らない。
加えて、オレは生来の方向音痴。
ほかのクラスは、授業がもう始まっている。
そこへ、いきなり乱入して、先生に実験室の場所を訊く勇気はない。
マズイ、完全に遅刻だ。入学早々、残念キャラのイメージが定着されてしまう。
教科書、ノート、筆記具を脇に抱え、記憶を頼りに廊下を走る。
……が、やっばり実験室には辿り着けず、迷子になってしまう。
「クソっ! どこだよ、ここ」
もはや、自分がどこにいるのかも分からない。
そのとき、階段から何者かが降りてくる気配を感じた。
最初のコメントを投稿しよう!