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???「それより、ここが王様ゲーム企画の会場って……何かの間違いじゃないかしら」
真衣の暴走をよそに、静かに立ち上がった少女が呟いた。ウェーブのかかった金髪のロングヘアーと、スカートについた埃を静かに叩いて落とす仕草が、高貴なお嬢様を彷彿とさせる。
ファーナ「ん? まちがい?」
その言葉に、先程まで全く持って空気だった“自称”司会者その2のファーナが尋ねる。
???「わたし、招待状には【不参加】に丸をしたはずなのに……ねぇ、励」
励「う、うん」
少女に助け起こされながら、励と呼ばれたメガネの少年は頷く。
励「俺は【参加】に丸をしたけど、せりなは確かに【不参加】に丸をしてたよ。なのに何で……」
隼人「ああ、多分そっちのメガネ君が先に参加に丸をしたからとかじゃね?」
せりな「は!?」
サラリと答える隼人に続き、ファーナが説明を続ける。
ファーナ「こんかい、おやごさん? きょか、してたら、ひとりまるする、いこーる……りょーほーさんかっ!」
せりな「……ふざけんなクソが……っ」
ぼそり、せりなは皆に背を向けて呟く。
グレ子「!!」
励「せりな、せりな!」
鬼をも殺しそうな険しい表情で静かに殺気立つせりなに、励がすぐ声をかける。
せりな「はっ! ……あらやだ、そういうことなのね。けれど、そういう事ならあらかじめ書いておいて欲しかったわ。少し驚いてしまったじゃない」
グレ子(こいつ……今……)
真衣「どーしたの? グレねぇね?」
グレ子「いや……何でもない」
にこにこと皆の方へ振り向いて佇むせりなに、グレ子だけが何やら危険なモノを察知してしまった事など誰も気づかなかった。
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