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「また君たち、野城くん一人でやらせてるな。今日の実験はテストに出るぞ。あぁ言ってしまった。言うつもりはなかったんだが。おまらのせいで言ってしまったじゃないか。だからほら、ちゃんと手伝いなさい!」
「…………」←野城
「あ?」
「ほら!!手伝うんだ!」
「別に俺ら手伝わなくても良くね?こいつ一人で全部やってるよ」
翌日。化学の授業のこと。
いくつかのテーブルに別れて電流の実験をしていた。僕は席が近いから、いつも自然に『ソイツら』と同じテーブルになる。
「確かに。大丈夫です。僕一人の方が逆にやりやすいですし」
僕がそう言った途端、ソイツらから笑顔が消えた。
「そ、そうか?なら良いんだが」
先生は少したじろいて、そう言って、違う班の所に行った。
僕は再び、黙々と電流の組み立てを再開した。
「…………」
「…………」
「生意気」
「…………」
「歪んだ性格だよな。いつかブン殴ってやろうぜ」
「良いねぇー」
僕はソイツらの言う事は耳にもくれずに、一人手を動かしていた。
入学してから一ヶ月。
すっかり、僕に誰かが話掛けようとすると、その人が周りから軽蔑した目で見られるっていう風潮になっていた。
どうして皆、他人と付き合う時に、その人の事よりも周りの人の事を気にするんだろう?僕はそういう独特の流れが大嫌いだ。
でも、『あの子』は違う。
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