第一話「僕が変われば」

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僕はそれから、笑うようにもなった。あの子の前だけで。 周りからは相変わらず『仲良くするには対象外』みたいな印象が続いていた僕だけど、次第に、そんな印象を僕に対して持っているのは、男子の間でだけになった。 女子界からは段々と、「この人話分かるかも」くらいにまで印象が変わっているのを、感じた。 僕を見る目が変わって来る。 不思議な事に、今まで僕を特別扱いしてた奴も、僕に対して普通に接してくれるようになった。 僕の場合は元々、無愛想なイメージが特に強すぎた分、ちょっと親しい女友達が一人出来て、ちょっと話すようになって、ちょっと微笑むようになっただけで、周りは物凄いギャップを感じたんだと思う。 少しだけ、過去の内気な自分に感謝した。 アイツらは相変わらず、僕が気に入らない、という態度で見ていたけど、別にどうでも良かった。むしろ、たまにそっちが僕の事を観察してるかのように、目が合う。 僕は そんなアイツらを見る度に思う事がある。 普通「気に入らない相手」ならば、僕の事なんて どうでも良いんじゃないか? 「気に入らない相手」なら、そっちこそ、こっちの事なんて気にしなければ良いのに? だから僕はこう思うんだ。 「気に入らない奴」と「どうでも良い奴」は、違うんだって。 「気に入らない存在」と「どうでも良い存在」は、全くの別物なんじゃないかって。 だって本当にどうでも良い存在なら、その人の事なんて気にも止めないし、見もしないだろう? アイツらは、僕に対して廊下ですれ違う時には軽く蹴って来たり、何かしら怒鳴り散らしたりして来る。 それは何かしら、本音を言えば、僕の事が気になってるんじゃないかと思う。 ただ別に僕は、僕の事を気にしてもらいたいと言う訳ではなくて。 僕は ねじ曲がった性格だから、こういう思考回路で、自分には非がない考え方しか出来ないけれど、アイツらを見てると、本当にそう思うんだ。
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