第一話「僕が変われば」

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次の日。僕はあの子にどうやってノートを届けようかと考えていた。 直接会える方法。 僕は あの時、落とし物BOXにノートを入れなかったのは、単に「お人好し」と言われた事に腹を立てた訳では無いんだ。 逆を言うと、あの言葉は僕を動かすバネになった。何故か…馬鹿にされたくなくて。それに、このノートがあれば、会える。 本音はそれだった。また、会いたかった。だから自分で手渡しそうと思った。 僕は休み時間、何となく廊下に来て、ノートに書かれてるB組の前まで来てみた。僕はC組。隣のクラスの子だったのか…。 B組の廊下側の窓は開いていて、教室の中が見えてたけど、どうやらあの子の姿は見えない。 だからまた後で来ようか、と思ってUターンしようとした時、 「あ!昨日の!」 声の方を振り向くと、昨日のあの子がこちらに向かって歩いて来る。それは確かに、昨日の女の子だった。 「あ。昨日ノート忘れてたよ」 近くまで来たから、そう言ってノートを渡そうとした僕に、彼女はにっこりと微笑んで「ありがとう」と言った。僕はその時 思った。 ―――…可愛い。
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