UP & DOWN

8/30
前へ
/152ページ
次へ
Aチームのキックオフから開始した。 「速攻来るぞ!サイドバック!裏取られんなよ!」 朝田が指示を送る。朝田はOMF、所謂トップ下。 トップ下にはゲームメイカーと呼び名もあり、ゲームを作っていくポジションだ。 乃木もその力を認めていて、朝田が地方のサッカークラブにいるときに小学生ながらに卓越した、戦術眼を持っている事を見抜き、カテナチオに招いたほどのものだ。 OMFではあるが、他のポジションでも使えるほどのセンスがある選手だ。 その朝田の言う通り、相手は開始直後に湯浅が左サイドを持ち前のスピードで走り、相手のRMFとRSBの間のスペースにはいった。 そこに、土井の絶妙なパスが入る。 「頂き~!」 湯浅のスピードに乗ったドリブルに藤木は追い付けない! 「いかせてたまるか!」 前から向かってきた、RSBの篠原がギリギリのスライディングタックルで湯浅を止めた。 「痛たいな、もう~。あつくなりすぎだよ」 「ごめんな、今回は宮脇さんのコーチ就任祝いで勝つつもりなんだわ」 「Bチームなんて朝田さんだけだと思ってたら、結構やる人いるじゃん!今日は先輩、あなたを抜きまくるから!」 「あなたって、、名前は篠原拓海だ。あと、そーゆードラマとかアニメみたいな台詞はいらないから、早くスローイン行け」 (生意気なやつだな。まあ、10歳でAチーム入りしたらそうなるか) そう思いながらも、篠原は湯浅を立たせてあげた。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加