UP & DOWN

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土井、松尾、渡邉も感じているかもしれない。 同期の、伊藤、三沢、野久保、朝田。 後輩の、長谷川、湯浅。 彼らの圧倒的な才能に。 現に海外のクラブからトライアルのオファーはたくさん来ている。 努力があれば才能なんてものは関係無い。 そんなことは綺麗事だ。本当のプロの世界に行く者達は才能を持っている者が努力をする。 そこには、越えられない壁、そういうものがある。 これから、土井、渡邉、松尾がどうなるかは乃木には分からない。 血が滲むような努力をして、Jリーガーになるかもしれない。 又は、どこかで諦めるかもしれない。 又は、乃木のように監督を目指すかもしれない。 どの道ここが彼らの人生のターニングポイントの一つなのだ。 ターニングポイントはたくさんあるのだが。 これはAとBの入れ替え戦という名目だが、実はヨーロッパ遠征のメンバーチョイスのためでもある。 当然、日本の代表として行くのだから、クラブ関係者は注目するだろう。 もしかすると、土井達にもチャンスはあるかもしれない。 登録できるのは、18人。 18枠の中には、Aの11人、Bから5人、そして、5年生以下から2人。 もう少し連れていきたいのだが、所詮は会社運営のクラブ。サッカーに回せる資金は少ない。 土井、渡邉、松尾。 この3人の中で、この試合中自分の今できる最大限の持ち味を生かせた者を連れて行く。
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