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-朝田-
「Bから3人あがるということは、Aから3人落ちるということだ。藤木、後半開始すぐに相手の最終ラインに行け。そしてかき回せ!」
「わかりました!」
そして、後半キックオフ。
開始と同時に藤木が全速力で相手の最終ラインまで走っていった。
「慌てるなよ。守備の撹乱が目的だ。三沢だけがつけ!」
GKの野久保がディフェンスラインを統率する。
(さすが、守備が整ってる。だが、あと10分しか無いんだ、少し自己中に行く)
朝田は、大胆にも中央突破を計った。
向かってきた、土井をロールターンで軽くかわし、右再度にボールを渡した。
そこにはオーバーラップしてきた、篠原がいた。
篠原が相手のサイドを割っていく。
湯浅が止めにいこうとしたところで、大きなロングボールでサイドチェンジした。
Aは相手の右サイドに気を取られていた。
そこには新道がいた。
新道は運動神経は低い方。
だが、努力家であるため、ドリブルにスピードは無くともタッチの一つ一つが丁寧である。
そして、トラップには自信があった。
それは、松尾も知っていた。
だからこそ引っ掛かった。
当然トラップして左サイドで1対1を仕掛けてくると思っていた。
しかし、新道はダイレクトで中央の朝田にボールを送った。
朝田はすぐさまドリブルを始めた。
しかし、ライバルの伊藤が出てきた。
(こいつが一番厄介だ。だからこそ、こいつを抜けば点を取れる!)
朝田はスピードを上げたドリブルで抜き去ろうとした。
しかし、相手は伊藤。すかさず前に入ってきて止まってしまった。
サッカーでは流動性が命のスポーツ。
止まることはピンチ、つまり相手の速攻にすぐ繋がってしまうのだ。
朝田のキープで時間を稼ごうとするも、伊藤の体の使い方の上手さで奪われそうになった。
しかし、これは朝田の作戦だった。
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