UP & DOWN

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交代直後は散々なものだった。 篠原がいなくなったことで左湯浅は水を得た魚のように、いや、鮫のように左サイドを独壇場としていた。 相模をダブルタッチで軽く抜き去り、フォローに出てきた小倉も得意の緩急で躱して、最後は川上の股の間をというゴールだった。 3-1。 スコアラー:湯浅 康平 アシスト:無し 「なんやあいつ。篠原にコテンパンにやられてフラストレーション溜まってたんか?」 「封じられてましたからね」 「長谷川さんも、伊藤さんもじゃんじゃんパス下さいね!話してないで!」 篠原のせい?で活躍できずにいたため、乃木監督にも怒られた。 それに柏原から教えてもらったことも実践できずに終わった。 湯浅vs篠原。ここは篠原に軍配が上がった。 「生意気な奴やで、ほんまに。でもすまんな。俺はこれから渡邉に活躍してもらうからな。あんな話聞かされたらな、、やから、お前は自分で得点を稼げ」 「そんなぁ」 湯浅は肩を落とした。 ~後半開始前に遡る~ 「この試合は海外遠征のメンバー決めもあるらしいんだ。だから伸也頼む!俺に見せ場をくれ!俺はJリーグでプレーしたいんだ。婆ちゃんとの約束なんだ!」 「お婆ちゃんとか!?任せとけ!」 ちなみに、伊藤は母を病気で亡くしたためお婆ちゃんに育てられお婆ちゃん子である。 「なら、お前に言うとくことが2つある。一つ目や。お前はDMFというポジションについてどう思う?」 「それは、、相手の攻撃の芽を摘みながら攻撃勢とDFの間にパスをつなぐことか?」 「お前は乃木さんの言うてる事復唱してるだけやろ!DMFとはな概念に捕らわれないポジションや!」 「がいねん?がいねんって?」 「概念も知らんのかい!要するに自由に動ける言うことや。空気を読むことが大切や。そして、二つ目や」 「二つ目は?」
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