77人が本棚に入れています
本棚に追加
瀬戸 一弥は悩んでいた。息子の一輝に夢が無いことを。
一弥は二浪の末、医大に進学したのだが、それは最初からこれと決めた夢では無かった。
意味もなく浪人生活一年目を過ごしてしまい、年末のスペシャルドラマでたまたま観たことから医者になることを志した。
医者という職業はドラマのなかでは尊敬の対象にあり、患者からは感謝されている、そういう風にドラマでは描かれていた。
その描写を全て鵜呑みにした訳ではないが、今の自分とあまりにもかけ離れてる存在に憧れ、そうなりたいと思った。
そして、猛勉強の末、医大に入学し、医者になった。
子供達にもできれば医者になってもらいたい。しかし、夢が出来ればそれを精一杯追いかけて欲しい。
追いかけるときに、なにかが枷になってはいけない。その何かがお金であることならそれは、大人の事情であり、そのようなことが子供の夢の妨げになってはならない。
そう思って、一弥は精一杯働いた。
最初のコメントを投稿しよう!