第1章

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 ノルウェージャン・フォレスト・キャットという猫がいる。 某ビートルズの曲名みたいと思ったら、ノルウェーの森猫。 普通にそのまんまの意味だった。寒い北欧ならではの長い毛。  故に寒さにも強く、とても人懐っこく好奇心旺盛であり、 知的で、遊ぶのが好きで、イタズラもするが勝気でもある。 高い所が大好きなのは、周囲を観察する為だともいう。  そのわりに寂しがり屋な面もあって、他の猫と遊んでると 嫉妬なのか、割り込んでくる事があるようだと書いてある。  我が家のウェジー(アメリカ風の呼び方)は♂2歳。 「ノルネコ」さん。やっつけにも程がある命名だけど 本人(猫)が、この名前にしか反応しなかった。  というわけで仕事から帰宅して、ドアを開けた直後に 猫玩具が玄関に広げてあり、期待の眼差しで見ている。 別にお疲れ様のお迎えという意味ではないようだ。  残業帰りで玄関で運動会をして、ようやく免除されて 着替えて風呂に入る。そういえば今日は職場の方から、 出張土産のお菓子を貰ったのだった。居間に鞄事、放って、 疲れを癒すには、ハーブティーと甘い物だなあ。って思う。  いい湯加減でしたと。何故かお菓子の包みが引き裂かれ 中身の方は立場がない程、箱のまま退かされている。 代わりに、リボンで新体操の特訓に励むノルネコさん。  ソファーで審査員の点数出るまで辞める気はないらしい。 適当に、じゃらしアイテムを点数板に見立てて、10点! というと、ようやく満足したようだが、マイ・リボンを 手放す気も無いようだ。  ハーブティー(ラベンダー&カモミールジャーマン)を 淹れて、お菓子の箱を開けようとすると、ノルネコさんが 近寄ってくる。こういう場合、欲しいというより何なの? という好奇心である事が多い。なので、その隙にリボンを 引っ張ってみる。  ガジガジになって解れていて、どう考えても長さが短い 「食ったな。」本人は気にする様子もない。 とりあえず、お茶は熱いので、部屋を変えて飲む事にする。 だが、くっついてくる。キッチンにも着いてくる。  さっき玄関で散々、遊んであげたじゃないか。 「さっきはさっきで今は今。これとそれとは話が違う。」 こういう嫌なクールな視線を、飛ばしてくる。 明日は幸い、休みである。今日はもう寝よう。  寝室に入ると、リボンをくわえたままノルネコさんが来る。
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